物語としての物語 ★★★★☆[90点]
純粋にこの作品はすごいと思いました。いつもなら早めに紹介するレビューにするのですが、今回は公開からしばらく経っているので、半分ネタばれで書きます。まだ未見の方は続きは読まない方がいいかもしれません。
さて、、、最近の宮崎アニメは「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」と少しずつ難解になりつつあります。この物語は老婆になったソフィーの恋物語のように見えて、戦争のなんとも言えない恐怖を伝えるという二重構造に「一見」なっています。「もののけ姫」では、反戦が色濃く出ていましたが今回はそこまで強くは打ち出されてはいません。
恋物語は、女性本能をくすぐる美青年ハウルに、惚れるソフィーという展開。評判を見ていると、この少女漫画チックな部分を理解できるかでおもしろいか、おもしろくないかが決まっているように思います。僕はそういうのもありだろうなと思ったので非常に楽しめました。そういう意味で女性に人気なのも分からなくもないですね。
一方、戦争の方は、何が原因で戦争があって、どこら辺で戦争が起きてるかも分からないという得体の知れない恐怖を存分に感じられます。戦争に翻弄される主人公たちを見ると、きっと戦渦にあった日本もまったく同様だったのだろうと感じさせます。ここも宮崎駿が伝えたかったことなのでしょう。
しかし、ここで反戦や恋愛だけが主テーマというわけでもないのですよね。全体的に説明が少なく、いろいろな解釈が可能になっています。なので、(自分なりに)解読するために何度も観るのもよし、(謎を残しながら)すべてを受け入れるのもよし、物語としての物語を思い思いに楽しむのがいいのではないでしょうか。
いずれにしても、これだけのスケールで世界観を描ききった作品はなかなかないと思います。すばらしいです。宮崎駿恐るべし。
@渋東シネタワー
on 映画 投稿者 shintaro : December 17, 2004 01:51 PM